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獲得賞金1億円・東大卒ポーカー王者が語る!お金のホントウの価値とは?
東大卒であり、プロのポーカープレイヤーである木原直哉さん。2012年第42回世界ポーカー選手権大会において、日本人で初めて世界選手権での優勝を果たしています。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ポーカーは世界で人気の競技で、プロのポーカープレイヤーがたくさんいます。優勝すれば億の賞金がもらえる可能性がありますが、参加費が破格な大会もあるため、勝てないと赤字になることも…。これまで賞金総額およそ1億円を稼いだ木原さんは、お金とどのように接しているのでしょうか?お金のホントウの価値について伺ってきました。
■ ポーカー競技とは?
まずはポーカー競技がどのようなルールで行われているのか、確認しておきましょう。世界大会でメジャーなのは、ポーカーの中でも「ノーリミット・テキサス・ホールデム」になります。役(手札の組み合わせ)は、「ワンペア」「ツーペア」「フルハウス」「ロイヤルフラッシュ」など、みなさんが知っているものと同じです。ゲームの進め方は以下の通り。
◎ テーブルを囲むプレイヤーに、手札2枚ずつ配られる
◎ 2人が場代を出す。この場代によってレートが高いか安いかが決まる
◎ テーブル中央に出てくる5枚の共通カードと、2枚の手札の合計7枚のうち、5枚でできる役を競い合う
◎ 3人目のプレイヤーから以下のいずれかのアクションを起こす
・1.コールする(その時点の場代と同じ金額をかける)
・2.レイズする(その時点の場代以上の金額をかける)
・3.フォールド(ゲームを降りること)
◎ 最後の1人になるまで継続する。勝者が場に集まった金額を総取りできる。
※トーナメントではお金ではなくチップをかけ、チップがなくなったら敗退する。
■ 黒字の年、赤字の年
木原さんはこれまで総額1億円ほどを手にしました。ですがその年によって収入はかなりの増減があります。
・2012年 3000万円の黒字
・2013年 1000万円の赤字
・2014年 2000万円の黒字
・2015年 500万円の赤字
黒字の年と、赤字の年、かなり激しい増減があることに驚きですね。
>木原さん「大会がトーナメントの場合は2、3日かかるので長丁場になります。収入を得ることを考えると割が悪いんです。でも、トーナメントで勝利することで、大きな名誉を得るができるので、そこに価値を求めています」
■ 人間は器を超えるお金を持てない
木原さんはお金との付き合い方について、どのように考えているのでしょうか?
>木原さん「人間には器があって、その器を超えるお金を持つことはできません。100万円の器の人が、いきなり1億を手にしたとしても、器からお金があふれて使いこなせないんですね。知り合いから教えてもらった話ではありますが、自分の経験からしても納得できますね」
例えばビジネスで3億円を稼いだ人は、その金額を生み出す過程で、3億円のお金を扱うだけの器になっている。ビジネスを通して成長していて、長期的な視野を持って、3億円を扱うことができるというわけです。
>木原さん「ポーカーでもパッと賞金を手にした人は、お金のマネジメントがうまくできないことがあります」
ポーカー界最高峰の「世界ポーカー選手権大会」では、参加費が1万ドルで6000人以上が参加します。優勝者は800万ドル、900万ドルが手に入るという世界になります。
>木原さん「ポーカーで大金を得た人が、破産することは珍しくありません。自分の実力を勘違いしてレベルが高すぎる大会に参加してしまうんです。冷静な判断ができないわけです」
■ 器を大きくするための方法とは?
木原さんは器を大きくするために、自分の価値を高めることにお金を使うべきだと提案します。
>木原さん「同じように高級店に食事を行ったとしても、そこでどう考えるかで自分の価値を成長させることが出来ます。1回で2、3万円かかるような高級店は、そんな金額なのになぜ予約も取れないほどお客さんを呼べるのか?食事、内装、サービスなどをよく観察してみてください。お客さんに喜んでお金を使ってもらえる理由を考えるだけでも、自分にとってプラスになっていきますよね。逆に、お金が入ったからといって高級店に行って無思考で食事するだけではお金を浪費するだけです」
また投資することもオススメしています。社会でのお金の動きが分かる上に、期待値もプラスだと考えているそうです。
>木原さん「投資はお金の価値を実感できるので、やってみるのはいいことだと思います。ただし儲けようと思って運用するのはNG。自分はポーカーのプロで投資は素人ですが、一つだけ自信を持って言えることは、どんなことでも素人は長期的にはプロには勝てないということです。好きな会社いくつかの株を小さい単位で買い、長期で保有して応援してみてはどうでしょうか」
■ 確率論的思考を身につける
そもそもポーカーの勝負は、「運」の要素が大きく影響すると言います。ポーカーや麻雀は「不完全情報ゲーム」で重要な情報が隠されています。一方で将棋やバックギャモンは「完全情報ゲーム」であり、盤面にすべての情報が開示されています。
>木原さん「ポーカーは運の要素が重要になりますが、ただしそれは結果的に振り返って分かるもの。これから先5分間は運が良い・運が悪いということは、誰にも分かりません」
例えばサイコロを振って、4回連続で「偶数」が出たとします。4連続は運が良かったと言えるかもしれませんが、その後も偶数が出るとは限りません。あくまで確率は2分の1というわけです。
>木原さん「運と確率論とは、切り離して考えなくてはいけません。流れが良いとか悪いとかも幻想で、人間は確率論的な思考が苦手です」
ポーカーで降りてばかりで参加率が低い人が、参加してきたら…。このプレイヤーはずっと流れが悪いからどうせ弱い手だと考えない方がいいと、木原さんは言います。
>木原さん「100回中3回ゲームに参加する人の手の強さと、100回中30回参加する人の手の強さは違う。そういう人が参加してきたら、警戒すべきです」
■ 高速バスと新幹線どちらを使う?
確率論的な思考は、お金の価値を考える上でも役立ちます。東京から大阪まで行く場合、高速バスと新幹線、どちらを使うでしょうか?新幹線なら片道1万5000円ほど、高速バスは安ければ3000円ほど。交通費を節約して現地でお金を使いたいなど、いろいろな理由があって高速バスを選んだとしたら…この時点であなたは命のリスクを取っています。
>木原さん「新幹線は何十年も乗客の事故死がないという実績があります。極めて安全性が高い乗り物。一方で年間の交通事故での死者数は、5000人近くになります。高速バスを選ぶということは、命を失ったり大けがをする確率を(わずかとはいえ)上げる選択肢だと言えるわけです」
自分の命の価値はいくらなのか、事故死するリスクはどのくらいか、それぞれの移動手段で確率を出してみてもいいかもしれません。
■ まとめ
プロのポーカープレイヤーである木原さんのお金との付き合い方、参考になったでしょうか。人生における様々な状況において、確率論で思考してみると、お金の価値を考えるきっかけになるはずです。
◎ 今回お話を伺ったのは?
プロポーカープレイヤー・木原直哉(きはら なおや):
北海道名寄市出身。2001年東京大学理科一類入学、2011年3月に10年かけて東京大学理学部地球惑星物理学科卒業。その後プロのポーカー選手となり、2012年の第42回世界ポーカー選手権大会において、「ポット・リミット・オマハ・シックス・ハンデッド」に参加し、日本人選手としては初めて世界選手権での優勝を果たした。
(image by PokerStars.jp)
(著&編集:nanapi編集部)
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