東京ビューティー 「スキ」で繋がるコミュニティ。東京女子のキレイとライフスタイルを応援!

2016年8月11日更新

男女のカップルだけが正しいの? 同性愛者の弁護士が見た日本の結婚制度

61897ec5 6d93 49b1 bf9e de49b1f87ff5

■ 日本の結婚について

日本では同性婚は認められていません。ここでいう「認められていない」というのは、法律で関係が保護されないということです。日本の法律で保護される結婚は、男女の結婚だけです。日本では男女の結婚は実はとても手軽です。宣誓もいらないし、教会や寺院や神社での儀式も全く不要です。結婚届という書類に、それぞれが署名をして役所に提出すればそれだけで結婚が成立します。出会って3時間後でも結婚できますし、年の差も関係ありません。一定の年齢以上の男女であれば、それだけで結婚できます。

同性婚の話をする前にまず日本の結婚についてホットな話題を紹介しましょう。日本の法律では、結婚した男女は必ず同じ名字になることが法律で定められています。法律には「男女どちらかの名字」にすると書いてあるだけですが、現実は96%くらいのカップルで、女性が元の名字を捨てて男性の名字になります。結婚したカップルが名字を同じにすることが強制される制度については、かなり長い間、男女平等に反すると言われてきました。また、名字を変えたくないという理由から結婚しない、あるいは結婚できないというカップルも多くありました。

これについて2015年12月、日本の最高裁判所は、夫婦の名字を同じにすることを強制する結婚制度は憲法違反ではないという判決を出しました。名字には個人を特定する機能以外にも、「家」を識別する機能があるから(文字通りの「ファミリーネーム」ですね)、結婚して同じ家族になる以上、同じ名字を強制することも合理性があるというのです。アメリカの連邦裁判所で結婚する権利は人権であり、それは異性カップルでも同性カップルでも変わらないという判決が出た2015年の年末に、日本の裁判所は、男性の名字が女性の名字を支配する結婚制度について、憲法違反ではないと言ったのです。

名字だけではなく、日本の結婚は、法律によってさまざまな権利や義務あるいは効果が生まれます。片方が亡くなれば財産の半分を相続できます。税金や社会保障でも、結婚していることで控除が受けられることがたくさんあります。また、結婚していることで社会生活が便利になることがたくさんあります。日本では夫婦の間でお金をまとめて管理することも少なくありませんが、夫の名前の保険契約を妻が全て手続きをするとか、夫婦であるというだけで、いちいち本人に確認されることなく、代わりに手続きができる場面がとても多いのです。そんなとき、先に挙げた「同じ名字」というのは相手に「夫婦です」と知らせる合図としてよく使われます。

このように日本では結婚は二人の生活を結びつけるだけでなく、カップルを中心とする家族と社会とを結びつける証明書のような役割も果たしているのです。結婚しているカップルだから、社会でようやく「家族」として認められるという認識が、人々の生活に浸透しています。

■ 家族であることが認められない同性カップル

さまざまな法律上の権利義務があるばかりではなく、社会生活での大きな意味を持つ結婚を利用できるのは日本では男女のカップルだけです。そのため日本では同性カップルは、結婚を利用できません。その結果、法律上の権利義務が認められないだけでなく、社会生活で「家族」として認めてもらえないということがたくさんあります。

片方が亡くなったときに財産を相続できないとか、税金や社会保障の控除が受けられないなどは法律上の効果です。それら法律のことも大きな問題ですが、社会生活上の困難も実は大きな問題です。結婚している男女であれば当たり前のように認められること、例えば、家族として携帯電話会社の割引サービスを受けるとか、家族として保険契約の手続きを代わりにするとか、あるいは病院で特別な家族として面会や立会ができるとか、そういうことが認められないことがとても多いのです。

法律の問題ではなく、それぞれの場面で、相手になる人たちやサービスを提供する会社が「結婚していなくてもカップルで家族なのですね」と受け容れればすむ話なのに、それがまったく受け容れてもらえない場面も多いのです。「結婚していないのは正しくないカップルだからだ」「結婚しているのは本当にカップルである証拠だ」そんな風に考えている人が多いから、そもそも結婚制度がなくそれを利用できないだけなのに、同性カップルはまるで「本当のカップルではない」ような扱いがされるのです。

日本では男女の夫婦が共同で住宅ローンを組んで家を買うことがよくあります。ある会議で僕は銀行の人に、同性カップルでも男女の夫婦のように共同で住宅ローンを組むことができないのか尋ねたことがありました。するとその銀行の人は「本当に同性カップルなのか、ただの友人同士なのか、わからないじゃないですか」ということを言ったのです。そこで僕は「それではあなたたち銀行は男女の結婚が本当の結婚かどうかはどうやって確認しているのですか?」と聞いたのですが、「だって、結婚なんて大変なことを、嘘でする人なんてほとんどいないでしょう」と当たり前のように答えられました。

最初に書いたように日本では、男女であれば簡単に結婚ができます。出会って3時間後の男女でも、一緒に住んでいなくても、本心では憎しみ合っていても結婚届という書類を役所に出せば結婚した夫婦として、社会から「家族」として扱われます。そして日本の社会では「結婚」は、法律上の権利義務以上の大きな意味をもって多くの人に認識されているのです。そしてその裏返しのように、結婚をそもそも利用できない同性カップルは、たとえどんなに愛し合っていても、一緒に暮らしていても、なかなか「家族」として扱ってもらえません。

■ 日本での同性婚

日本でも同性婚が認められるべきかという問いの答えはとても難しいと私は考えます。ここまで話したように日本では、男女の結婚が、法律上の権利義務だけではなく、社会生活上、いろいろな効果を生じさせています。「結婚していることが一人前だ」と考える人だっているのです。社会の中で、結婚している人と結婚していない人の間の格差、あるいは結婚していない人に対する差別があるともいえます。

そんな中で同性カップルも結婚を利用できるとなったとき、それは結婚している人と結婚していない人の格差や、結婚していない人に対する差別を拡大することに繋がらないでしょうか。少し心配です。

しかしいっぽうで、結婚制度を利用できないために、同性カップルの間で財産の相続ができなかったり、税金や社会保障の控除が受けなかったり法律上の不利益もあります。そもそも法律は性別に関わらず平等な内容であるべきですから、法律における男女の結婚と同性カップルの差別は解消しなければならない問題でしょう。

私は同性婚だけを考えるべきとは思いません。本当は、男女の結婚を中心に、結婚の意味をみんなで議論し考えるべきだと思っています。男女の結婚から始まる家族もあれば、同性カップルの家族もあり、ステップファミリーもあれば、シングルという家族もある。本当はたくさんの家族の形があるのに、男女の結婚から始まる家族だけが「正しい」と思い込んでいるような人に対して、「自分と違う家族もたくさんある」と知らせることが大切だと思います。

(image by Takashi Uchimura)
(著:nanapiユーザー・南和行 編集:nanapi編集部)



【関連記事】
気になる彼へプレゼントを贈るときに知っておきたい「色」の話
死ぬまでには言われたい!女子の心を掴んで離さない胸きゅんワード
イマドキ女子の"理想の男子"が難易度MAXだと判明…「男子がんばって!」
女子はみんなお姫様♡あなたの「プリンセスタイプ」診断
【元記事】男女のカップルだけが正しいの? 同性愛者の弁護士が見た日本の結婚制度
  • ALL 全て
  • 美容
  • ライフスタイル
  • サロン
  • ファッション
  • LOVE・恋愛
  • グルメ
  • イベント
  • 東京ガイドブック
  • エンタメ・エンターテイメント
 
プレゼント
ノンケミカル 日焼け止め 40gホットクレンジングジェル 200g

今月は【2e(ドゥーエ)】ノンケミカル 日焼け止め 40g【skinvill スキンビル】ホットクレンジングジェル 200gをプレゼント!

プレゼントに応募する
星占い
れいみん式輝翔運命暦