- 東京ビューティーTOP
- ライフレシピ 病気、肥満、薄毛…DNAでどこまで分かるのか?遺伝子検査の基礎知識
病気、肥満、薄毛…DNAでどこまで分かるのか?遺伝子検査の基礎知識
遺伝子とは、体の組織や細胞を構造する"設計図"です。体型・体質・顔のつくり・性格など人それぞれ違いますが、遺伝子=設計図が異なるからです。しかし人間は、99.9パーセントが同じ遺伝子と言われています。個人差を生み出しているのは、わずか0.1パーセントにも満たない遺伝子の違いだけなのです。つまり、99.9パーセントの同じ遺伝子をもち、0.1%の異なるDNAによって人間は体型や顔のつくり、体質や性格などの違いが生じるわけです。遺伝子検査を行う方法と、どのような結果が出るのかを、ご紹介したいと思います。
■ ポイント1 遺伝子検査で分かること
DNAや染色体を分析し、先天性の病気や体質など様々な要因を調べるのが遺伝子検査です。検査キットでDNAを分析する方法や、病院やクリニックで遺伝子検査する方法がありますが、代表的な検査項目として次の5つを確認することができます。
◎ 1.先天性の病気
親から受け継ぐ先天性の病気は遺伝性の腫瘍(がん)やダウン症が多いとされ、そのなかでも乳がんや大腸がんが遺伝性の高い疾患として有名です。ただし、親の病気が必ずしも遺伝するわけではありません。遺伝するリスクを調べるためにDNAを解析して先天性の要因がないかを検査します。
◎ 2.後天性の病気
DNAは環境によっても変化し、先天性の病気とは別に後天的に発症する病気もあります。喫煙や飲酒など不健康な習慣によって患う生活習慣病や糖尿病などが代表的です。肺がんや胃がん、脳卒中や心筋梗塞なども後天性の病気。遺伝子検査でDNAを分析することで、将来的に発症する可能性がある病気を予測できるケースもあります。
◎ 3.遺伝的な体質
DNAの情報をもとに生まれもった体質を確認できるのも遺伝子検査の特徴です。肥満や薄毛、アレルギーや肌質、虫歯になりやすさなど、体質の傾向を調べることができます。たとえば、男性型脱毛症(AGA)などは遺伝的な要因が影響しやすく、最近は遺伝子検査で薄毛のリスクをチェックする男性も増えているようです。
◎ 4.血縁関係の証明
DNAを照合して血縁関係を証明する際にも遺伝子検査が用いられます。つまり、DNA鑑定です。親子や兄弟、祖父母とのつながりなど、遺伝子検査で確認することが可能です。検査キットでDNAを解析する方法もありますが、証拠能力を高めたい場合には鑑定書や証明書を発行してくれる検査機関で鑑定してもらうのが一般的な流れとなります。
◎ 5.薬剤の適応性
効果がある薬、効果が薄い薬など、その人に適した薬の"効き目"を予測することができます。つまり、相性の良い薬・そうでない薬を事前に知るためです。たとえば、がん治療で薬剤の投与を開始するにあたり、抗がん剤の効き目や副作用などを予測したり、どれくらいの効果が期待できるのかを遺伝子検査で調べたりします。
■ ポイント2 遺伝子検査の方法
遺伝子検査する場合、主に2通りの方法があります。検査キットでDNAを分析する方法と、病院やクリニックで遺伝子検査する方法です。
◎ 標準的な検査キットの流れ
・ Step.1 検査キットの申し込み
インターネットで申し込みし、検査キットを購入します。
・ Step.2 唾液を採取する
検査キットが届いたら、専用の容器に唾液を採取します。注意事項として、唾液を採取する30分前から飲食や喫煙は避けること。
・ Step.3 唾液を送付する
返送用の封筒に採取した唾液が入った容器を入れ、ポストに投函します。
・ Step.4 検査結果の確認
およそ3週間~4週間ほどで検査結果が出ます。検査結果をWEBサイトで確認。
唾液には白血球が含まれており、白血球の細胞からDNAを抽出して遺伝子を検査します。項目に応じて検査結果が数値化され、病気のリスクや体質などをデータで確認できます。たとえば、株式会社DeNAライフサイエンスの遺伝子検査キット「MY CODE」を例にすると、40種のがん・20種の生活習慣病など全150種の疾患が検査項目の対象です。それ以外にも体質について全130種の項目があり、検査結果をもとに生活習慣の改善や病気の予防など健康管理に役立てるのが遺伝子検査の目的とされています。
◎ 医療機関で遺伝子検査する場合
病院やクリニックでも遺伝子検査ができますが、しっかり検査したいのであればカウンセリングやアフターケアが整った病院を選んだほうが良いでしょう。検査を受ける前のカウンセリングや問診、検査後には健康管理や予防法など生活習慣についてアドバイスしてくれる病院が好ましいです。また、検査キットを利用する際も、「精度の高い遺伝子検査を行っているメーカーか?」をしっかり確認してから申し込む必要があります。
■ ポイント3 検査キットは目的に応じて様々
複数のメーカーが遺伝子検査キットを提供しており、病気のリスクを検査するタイプや肥満体質を検査するタイプなど目的に応じた様々な検査キットが流通しています。最近の主流は検査結果を出して終わりではなく、その結果に基づいて体質改善や健康管理のサポートやアフターサービスがセットになっている検査キットが多いようです。たとえば肥満遺伝子の検査キットでは、DNAをもとに肥満の傾向や体質を分析し、太る原因や最適なダイエット方法を提案するといったパッケージが主流となっています。ほかにも肌の遺伝子を分析して美容に役立てる検査キットや、薄毛の遺伝子を分析する検査キットなど目的に応じてピンポイントで選べるようになっているのも特徴です。
■ ポイント4 遺伝子検査の活用性
DNAを解析し、病気のリスクや体質など様々な情報を得ることができる遺伝子検査。最近は、ライフスタイルの見直しや健康管理のために活用する人が増えています。遺伝子検査で自分の体質や病気のリスクを知ることで明確な改善策や予防法が見つけやすくなり、健康的な生活習慣を実践できるというわけです。つまり、遺伝子検査は病気を未然に防ぐための"予防医学"とも言えます。しかし、自分の体について知るということは、予期せぬ事実が判明する場合もあるでしょう。
自分では健康だと思っていても、将来的に発症するかもしれない病気が発覚するかもしれません。そうだとすれば、なおさら今のうちから予防しておくことが大切です。遺伝子検査のデータをもとに医師に相談したり、食生活や健康管理などライフスタイルの改善に役立てたり、活用性を考えると有意義なツールと言えるのではないでしょうか。
■ 納得できるところで検査することがおすすめ
また、はじめて利用するときは何かと不安でしょうし、検査キットを申し込む前は気になる点をメーカーに問い合わせて納得してから決めるのも効果的。病院で遺伝子検査する場合も同じように、きちんと説明やカウンセリングを行ってくれる病院を選ぶようにしたいですね。いずれにしても、遺伝子検査は結果が出たあとが重要。アフターケアや検査後のサポートが充実している検査キットや病院で検査することをおすすめします。
(image by amanaimages)
(著&編集:nanapi編集部)
【関連記事】
・子どもの虫歯を予防!フッ素洗口についての基礎知識
・ビール腹だと夏は来ない!?ポッコリお腹を予防する方法
・つらい夏風邪の治し方は?症状を知って早めの対処を!
・日焼け止めは「飲む」時代へ。最新の日焼け止め事情と使い方
・【元記事】病気、肥満、薄毛…DNAでどこまで分かるのか?遺伝子検査の基礎知識