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結婚式で花嫁を奪い去って…ドラマでよく見るけど法的に問題ないの?
教会で結婚の誓いを交わそうとする瞬間、扉が勢いよく開き、入ってきた男が花嫁への愛を呼ぶ。まわりが騒然とする中、男は花嫁の手を引き、式場から出て行く……。映画やドラマでよく見るシーンですが、ふと疑問が。これって罪にならないの?花嫁や入ってきた男からするとドラマチックな感動のシーンかもしれませんが、略奪された新郎側からすればたまったものではありません。2人は結婚して幸せに暮らしました、とハッピーエンドで終わるわけもなく、現実世界では泥沼の裁判へと続いていく予感がします。そこで、現実問題として「結婚式で花嫁を奪う」というのは法律的にどうなのか、アディーレ法律事務所の弁護士・吉岡一誠先生に伺ってみました。
■ 式場で花嫁を奪うのは罪?
吉岡先生に率直に罪になるのか質問してみると、可能性はあるそうです。
>吉岡先生「まず、結婚目的で人を従来の生活環境から離脱させ、自己または第三者の支配下に移す行為については、結婚目的拐取(かいしゅ)罪が成立する可能性があります」
暴行や脅迫を手段とする場合を「略取」、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段とする場合を「誘拐」といい、両者を合わせて「拐取」と呼ぶそうです。暴行したり誘惑したりはしていないですが、連れ去っているわけですもんね。それに、手を引いたことや愛の言葉を叫んだことも暴行や誘惑とされかねない気もします。ただし、結婚目的拐取罪は花嫁が同意している場合には成立しないとのこと。映画やドラマの場合は、花嫁が心のどこかでそれを望んでいた、というような描き方をしているので、法律的にも問題はないという認識なのかもしれません。
■ 未成年の場合には親の同意も必要
しかし、花嫁が同意していたとしても罪になる場合があります。それは花嫁がまだ未成年だった場合。吉岡先生によると、花嫁が未成年である場合、親の同意がなければ「未成年者拐取罪」が成立する可能性があるそうです。
>吉岡先生「なぜなら、未成年者拐取罪を規定している刑法224条が、拐取行為を規制することによって保護しようとしている利益には、未成年者の身体の自由のみならず、未成年者に対する親の監護権も含まれるからです」
つまり、花嫁の同意があれば花嫁自身の身体の自由は侵害されませんが、未成年の場合には親の監護権が侵害されることになってしまうわけですね。
■ どんなに仲が良くてもダメ?
未成年とはいえ、親しい間柄であったのなら親の同意がなくてもいいのでは、と考えてしまいますが、親の監護権侵害の問題なので2人の仲の良さは関係ないそうです。もし未成年の花嫁を結婚式中に奪い去りたい場合は、事前に親の同意をとっておく必要があるようです。ただ、それができるのであれば、結婚式が始まる前にどうにかしろよ、という話になりますが……。ちなみにいわゆる「駆け落ち」も、一方または双方が未成年で保護者のいる場合は親の監護権侵害になります。
■ ほかにもこんな罪になる可能性も
当事者間の問題が回避できたとしても、違った方向から罪に問われる可能性もあります。それは結婚式場です。
>吉岡先生「花嫁を奪い去る目的で結婚式場に侵入する行為については、式場の管理権者の意思に反する立ち入りとして、建造物侵入罪が成立する可能性がありますし、結婚式場に押し入って無理矢理に花嫁を奪い去る行為については、式場のウェディング業務を妨害したとして、威力業務妨害罪が成立する可能性があります」
素晴らしい結婚式にしようと準備の段階から努力してきたのに、その結婚式を台無しにされたら、式場としても許せませんよね。結婚式場のイメージダウンにもなりかねません。結婚式場にあらかじめ了承をとることも難しいでしょうから、やはり結婚式に乗り込んで花嫁を奪い去る、というのは現実的ではなさそうです。
■ 結婚式より前に決着を
吉岡先生の先生の話を聞いて、つくづく物語の中だから成立していたんだな、と実感しました。映画やドラマのシチュエーションを憧れの気持ちを持って見ていた人もいたかもしれませんが、これを読んで「やっぱりいいや」と思ったのではないでしょうか。結婚式に乗り込んでいくほど好きな人がいるのであれば、その人がほかの誰かと結婚してしまう前に思いを伝え、略奪するなり玉砕するなりしてしまいましょう。そうすれば、結婚式場に迷惑をかけたり、警察のお世話になったりすることもありませんよ。
◎ 取材協力
アディーレ法律事務所・吉岡一誠(よしおか いっせい)先生:
弁護士(東京弁護士会所属)。関西学院大学法学部卒業、甲南大学法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。友人がとても困っているのに、相談に乗ることしかできない自分自身に憤りを覚え、弁護士になることを決意。現在は悩んでいる方のために、慰謝料問題や借金問題などを解決すべく、日々奔走している。
(image by amanaimages)
(著&編集:nanapi編集部)
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